JUKEとわたし その1
大きなきっかけはこのREMIXだった。
Jukeという音楽ジャンルを知ったのは、雑誌remixか何かだったと思う。その当時は確かJersey clubとかも盛り上がり出した頃で、また流行りもんで2年後には消える系クラブミュージックかーとか思って興味が全くなかった。結果、いずれもそんなことなかったけど。
で、vampilliaメンバーからこのリミックスを教えてもらった。Juke自体は聴いたことなかったが、BPM160で三連符が多用されるといった情報だけ入っていたことと、リミックスしたマイク・パラディナスのレーベル「Planet Mu」からJukeのコンピレーションが出ていると聞いていたので、この音源はそれだなと合致した。
vampilliaのゴス要素がスリリングかつ、ダンサブルというよりは攻撃的なビートで編まれたこの音源をDJで使いたいと思い、いろいろ掘ることにした。そこで前述のコンピレーションを聴いた。
衝撃だった。
新時代の「Back From The Grave」だと思った。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Back_from_the_Grave_(series)
極端にハイが強調されたスネアが乱雑に叩かれ、ぶっきらぼうな重低音が暴れ狂い、慌ただしいくスリリングなホーンやオーケストラのサンプリングが唸り、2分台でスッと終わる。
ゲットーテックやハウスの文脈で生まれた音楽ではあるのだが、
自分にとってはガレージパンクの新しい形だと認識した。
それから自分の出番があるたびにかけようと試みるようになった。
幸い日本にはフリーコンピがたくさんリリースされている。それでいろんなトラックメイカーの名前を知っていった。
これは今でも使いまくってる曲が沢山。
japanesemutationbootyism.bandcamp.com
それまでメインにしていた4つ打ちやミニマルよりもかけた時の手応えがハンパなかった。ガレージパンクバンドでドラムをやっていた時の感覚が蘇ったのだった。
これにより、方向性に行き詰まっていたDJ活動に陰りを感じていたが、モチベーションがグッと上がることになる。
2013年の年末にDJ ZappingTVことユージくんにお誘いいただき、そこで初めてまともにJukeの現場を見ることに。
nunulaxnulanの、ニュースの解説 DENSHITOPIA meets BOOTYTUNE @難波Rockets 12/25
生でフットワークを見てコレが動画で見たやつか!と感動したのを覚えている。
初めて見たフルトノさんとカオルさんのDJでJukeは現場で鳴ると思っていたよりも"黒い"と感じ、文章で知っていたハウスの文脈で生まれた音楽であることを体験で答え合わせしたような気分になった。
ドラムとベース生演奏でJukeを行うオロリンズ、全員覆面でハナモゲララップ、VJプロジェクターを客席に浴びさせるSatanicpornocultshopのライブにやはりパンクもしくはポストパンクとしてのNew Waveを感じ、この国、というか大阪から生まれた独自性をわかりやすく体験したように感じた。
サタポってエレクトロニカっていうかアヴァンギャルドな電子音楽ユニットじゃなかったっけ?と驚いたのも憶えている。
イベントのトリにシークレットで登場した佐伯誠之助さん(によく似た人)によるライブで大団円だった。それもまた大阪っぽい。
その後もBooty Tunesのパーティーに足を運んだり、難波ロケッツで東京のパーティー「SHIN-JUKE」が行われると聞いて向かったりと現場に出向いた。そこで話題のNature Danger Gangを見て、新宿にヤバいシーンが存在していることを知った。
omochi records presents SHIN-JUKE in OSAKA
その後も、自分がレギュラーでDJさせてもらっていたイベント「いいにおい」や「世紀末」でJukeをかけ続けた。もう整合法では生粋のDJの方々には及ばないし、自分がやっても面白くないので、別ジャンルのBPM160に近いものをガンガン放り込むスタイルで行っていた。その中で、BPM110~120くらいのゴスめなオルタナティブハウスを繋ぐようにしたりと試行錯誤を繰り返した。
掘っていくうちにvampilliaのリミックスのようにゴスめなJukeもわりと存在することを知り、その辺を多く取り入れた。
Broken Fingersなるアーティストはそんな音源を大量に生んでいる。
そのBroken Fingersを紹介する日本語の文章を見つけた。書き手の名前はCRZKNYと書かれていた。
続く(かも)
MIGMA SHELTER ORBIT TOUR OSAKA 20180121
先日のMIGMA SHELTER ORBIT TOUR 大阪での自分のセットリストの意図について知りたいという意見が出たので、久々に解説してみたいと思います。
テーマはもちろん「MIGMA SHELTER」でした。
まず1曲目はこの日かCMJK氏による新曲発表ということもあり、在籍時の電気グルーヴ楽曲「D・E・P」から始めました。「キチガイばかりだ」ってフレーズがループされるのも場にハマると思ったので。
電気グルーヴ (Denki Groove) - D・E・P - YouTube
そこからKLFへ。MIGMA SHELTER(以下ミシェル)はライブのことをレイブと称するので、レイブと言えば「What Is Time Love?」だろうと思って選びました。最初のつかみとしても狙いましたが、とにかく反応が多くてうれしかったです。そこからベルハーの「ヴァント」へ。この曲は前々からかけたかったのでタイミング的にここかと。あーやんさんがたまたまライブ見にきてて喜んでくれてよかった。
最近かけまくってるいずこねこの皮茶パパremixからエキゾチックさをキープすべくACID ARAB〜chemical brothersの「it began in africa」。エキゾっぽさは溺れたエビ!の作った空気を意識してみました。そこからサイケトランスのルーツと思われるシカゴハウスとアシッドを少々。
Acid Arab - Le Disco (feat Rizan Said) [Musique de France] - YouTube
てか皮茶パパリミックスめちゃくちゃカッコよくないですか?
いずこねこ - rainy irony 「皮茶パパ & PsycheSayBoom!!! remix」 - YouTube
ミシェルの「compression:free」から想起されたTHE MAD CAPSULE MARKETSの「tribe」でBPMを上げました、以前ミシェルの楽曲を手がけていらっしゃるタニヤマヒロアキさんがDJなさった時も使ってたらしく、それが頭に残ってたこともあり。
PVもイントロがサイケトランス風ですね
そこからここぞとばかりにサイケトランスを。余談ですが、サイケトランスといえば10代の時にスペースシャワーTVの「メガロマニアックス」でブライアンバートンルイスが紹介していて学びました。その当時にチャートで上がっていたグループのGMSの名前は憶えていたので、彼らの曲を使ったりしてみました。3曲をかなりギュッとした感じでしたが、サイケトランスでDJするのは楽しかったです。
Growling Mad Scientists - Jaws [HQ] - YouTube
さらに余談として、当日着ていたTシャツはKILLING JOKEのYOUTHのサイケトランスアルバム「SUICIDE」のものです。2005年のフジロックで買いました。BATHIG APE、C・Eでおなじみのskatething氏によるデザインだそうです。
そこから校庭カメラガールに繋ぎました。先日アップされたコウテカドライの新曲インストも候補にありましたが、場の空気的にスワロウメイズだろうとそちらに。
【MV】Swallow Maze Paraguay / 校庭カメラガール - YouTube
prodigyの「outer of space」は多分GIPSのアイディアの元ネタだろうと思いここで使用。ただ入れるタイミングを大きくミス!酔い過ぎ!
この時期のPVの雰囲気めっちゃいいっすねー
そこからエレクトロなフィロソフィーのダンス「熱帯夜のように」〜またもCMJKさん楽曲であるエビ中「藍色のMonday」。意識してませんでしたが溺れたエビ!のエビと名前がかかってたりミシェルのアマリさんの推しメンの曲だったりしたらしいです。経験上、こういう偶然性ってわりと引き寄せられてたりすると思います。
そこからCASIOトルコ温泉「びわこわんわん王国」。ミシェルのロンTデザインをなさってるちやじさんのグループというのと、ここからjukeに繋げるには最適な曲ということで選びました。
一応得意分野はJUKE/footworkなので最終的にそこに持っていきたくてハイなjukeを。そしてさっきかけたベルハー「ヴァント!」のラストのセリフでシメました。
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今回は転換としてではなく、ゲスト扱いで呼んでいただいたこともあり、他のアクトに負けないようにしなくてはと思い今までにやったことのないハイなセットでした。めちゃくちゃ楽しかったです。
楽しんでくれた皆さん、お呼びくださったみなさん、貴重な機会を頂いてありがとうございました。
こんな感じでVMO主催イベント「世紀末」でも毎月やってますのでよろしくお願いします。
次の直近のDJは
2/17 大阪 Environment 0g
「バチ上げバチ当たり」
open 18:00 start 18:30 前売: 2500yen(inc 1drink)
ギャル電
VMO
佐伯誠之助
中田粥+S.O.W.
Laser Kaseo
KAZ a.k.a.HIGE
Unyo303
盆と正月
わたし
協力: 共立電子シリコンハウス
リプで予約できます
2016年ベスト
順不同。
年末あたりにリリースされたものは聴けていないものが多いので除外されているものもあります。校庭カメラガールツヴァイとか。
Album
少女閣下のインターナショナル - 殺人事件
まがいものとジャンク品が究極なところまで行ってしまい、なんだか崇高なものになってしまった。そんな奇跡のような1枚。
歌唱力の弱さ、決して一般ウケしないであろうルックス、運営の趣味丸出し感といった地下アイドルに付随するマイナス要素がスカムとなって完全にプラスになっている。
少女閣下のインターナショナルとは、ライブでのパフォーマンスである"ぼったくり物販"がTVタックルなどで紹介されてちょっと有名なアイドルシンガーソングライター里咲りさによる自身が社長兼メンバーとなって運営していたグループ。この文面だけでも初見の人はワケが分からないだろうけど、ライヴはもっとスゴい。
このグループといえば誰もが知ってるこの曲のいろいろな意味でヤバいカヴァーが名刺代わりだった。
ライブは結局2回しか見れなかったが、ミックスでジャージャーというときに炊飯ジャーを掲げるヲタクのマンガっぽさや異様に見た目のバランスのとれたメンバーのキャラクターが印象的。完全にスカムだったのでベアーズでのライブは見たかった。
で、本作。
ガレージパンクからへんてこアシッドハウス、B級サントラ、チップチューン~ニューウェーブといった楽曲性と、全体的に漂うSUICIDEっぽさが自分的にツボった。空気感は食パンを投げるメンバーがいた頃のPOLYSICSに近いものを感じる。
ギターと変拍子がやたらカッコいい代表曲。8分もあり、間奏が長いからライブではMCを始めたり早送りで飛ばしたりする。
あらゆる楽曲で起用されるナレーションが新しく感じた。ラップやポエトリーリーディングではなくナレーション。昔のアニメの次回予告やあらすじの説明のようなアレ。サンプリングではなく新たに作られたもので、ここで声優志望だった福円もち(現ライムベリーDJ OMOCHI)の力が発揮されている。
アルバムラスト曲にもあるように活動休止してしまった。ライブアイドル広しといえどもこのジャンク感と異様な完成度はもう現れないのでは。
Andy Stott - Too Many Voices
このアルバムからDJで何曲かかけることが多かった。で、かけたら必ず共演者さんと楽屋でこのアルバムの話になった。面白いのは絶賛と批判で意見が分かれがちなところ。グライムやインディR&Bみたいな流行モノを大喜利的にお題にしてやってみましたって感じな気がする。
シンセの音色がやたらセンチメンタル感を煽りまくっていて、リリース時期よりも夏の終わり、盆明けにかっちりとハマった。「さよなら夏の日」ってロマンティックな感じじゃなくて”日が落ちるのが早くなって寂しいけど暑いのももう飽きた、でもいろいろやり残してる気がするなー、あー鬱陶しい。とりあえずYouTubeでガキ使トーク見よ”って感じの気だるさ。
Beyonce - Lemonade
まさかビヨンセをベストに挙げる日が来るとは。人生って面白いですね。
アメリカエンターテイメントの最高峰の1人と言えるビヨンセさんがフックアップしたのがEDM勢ではなくJames Blake、Jack Whiteといった言わばオルタナサイドの人たちだったというのがもちろん大きい。1人フジロックって感じ。
特に「Hold Up」のルーツレゲエ使いが絶妙なトラックを聴いてDiploてやっぱりスゴいんだなーと再認識。
Apple MusicでもSportifyでも聴けないけど、TSUTAYAで11月末にレンタル解禁されているというちょっとしたエクスクルーシヴ感が面白かったです。
Andrew Weatherall - Consolamentum
今年リリースされたConvenanzaのリミックスアルバム。
ここ最近自分の中でロックっぽいダークなニューディスコ(要はウェザウォールがDJでかけがちな曲調)がきていて、それらをディグったりすることが多かった。そんな中で出会った楽曲のアーティストたちがリミキサーとして一堂に会していたり、ミニマルやダークエレクトロ界隈の自分の好きな人も参加していて驚いたり。ジャンルが微妙に違っても自分の好きなものは実は一貫していたんだなーというちょっとした感動を得られた。
今年は久々の来日が決まって楽しみにしてたけど、体調不良でキャンセルとなった。代替公演はまだ。このキャンセルによってタワレコNU茶屋町で行われたおやすみホログラムのインストアに行ったというのが何かしらの運命だったのだろうかと思ったり思わなかったり。
で、この辺の音をプレイするDJってどこで聴けるのだろうか?レコードは売れているのだから絶対にやっている人はいるんだけど。
ウェザウォールといえば過去のパートナーであるニナ・ウォルシュと共にThe Woodleigh Research Facilityなるユニットでもアルバムをリリース。CD化されずヴァイナルでリリースだった。こちらも素晴らしい。
なるほど、ヴァイナル独特の音質でアナログ機材のみ作った曲を楽しんでくれってことか。と思っていた。
Apple Musicで聴けた。
David Bowie - Backstar
全体に漂うダークでゴスい雰囲気がいいなーとか思ってたらアルバムを作る時にDeath Gripを聴いていたという話を読んでビックリ。大御所なのに最先端を見ていた感性に賞賛。過去にマゾンナのライブを見るために小さなライブハウスの列に並んでいたという話はマジかもしれない。
ベスト盤に収録された楽曲「Sue」の再録版がとにかく素晴らしい。今まで度々メタル化するだけで失敗に終わっていったロックとドラムンベースの融合がマーク・ジュリアナの手腕によって見事に成功しているように思う。
David Bowie - Sue (Or In a Season of Crime) [Audio]
そんなマーク・ジュリアナの新バンドHalo Orbitもヤバい。Buffalo Daughterのシュガー吉永さんとMars Voltaのベーシストであるホアン・アルデレッテによるもの。New Chapter Jazzに紹介されているような新世代ジャズ勢がロックと関わりだしているのはかなりアツイ。
デヴィッドボウイは伝説以上に今まさに最もカッコいいロックをやっている人ということが素晴らしかった。まだ作品を作るつもりだったらしい。フォーエバーヤングを身を以て表現したような人だった。
Satanic Porno Cultshop - Boneless ep
大阪、というか日本、むしろ世界が注目するトラックメイカー集団の作品。
TR-808などJuke/Footworkの定番ツールを使わずに新たな境地を拓いた作品を今年だけでもたくさんリリース。その中でもロックやガレージパンクを使ったこの作品がツボりました。
自分はしっかりと踊れないくせにアイドルヲタのお客さんにフットワークを啓蒙することを目標にしている節がある。先日UNDERHAIRZがまさにJukeを取り入れた楽曲を発表したのだが、その際にハバナイダンスと称されたのがなかなかに印象的だった。
Masayoshi Fujita & Jan Jelinek - Schaum
今年のトレンドの要素の中に"アンビエント"と"トロピカル"があったように思う。
ヴェイパーウェーブ界隈なんかでもそうだったらしいし、レコード屋で売っているカセットテープはそういう作風が多かったり、やけのはらがUNKNOWN MEなるアンビエントグループを結成したり。
トロピカルはまさにトロピカルハウスもそうだが、先述のダークなニューディスコでロックな曲調が多かったRed Axesがまさにトロピカルっぽくなっていたり。去年だけどClap!Clap!もまさにそうだった。
そんな二つのトレンドが合わさったようなアルバム。混沌としつつもパーカッションやおもちゃの音が有機的に絡み合ってぼーっと聴いているうちに終わってしまう。
The Body – No One Deserves Happiness
メタルにしてもヒップホップにしても純度の高いものは昔からあまり受け付けにくい。それはミクスチャー文化が主流だったオルタナティヴロック世代というのが大きいのかもしれない。基本的に好んで聴くものが混血なモノなので、CANならflow motion、ブランキーならロメオの心臓みたいに異色作と言われるものが自分の中での主流だったりする。
The Bodyはスラッジ~ドゥームメタルのデュオだがエレクトロニクスの導入がインダストリアルミニマルと共鳴した「I SHALL DIE」に象徴されるように様式美にとらわれない先鋭的な発展を見せている。今作はその路線をさらに進めたように女性シンガーの参加やとにかくポップな内容。要は異色作。
vampilliaとの共演や共作も納得。The Bodyのメンバーはアイドル好きらしく、vampillia出演の「いいにおいのする映画」に主演した金子理江擁するLADYBABYをチェックしていたというのはなんともいい話。
Kralliceが最先端の音楽を紹介するAdult Swim Singlesでリリースされていた。ポストブラックメタルは今後さらにムーブメントが広がるのかも。
VMO - Catastrophic Anonymous
個人的に今年はVMOの一年だった。vampillia blackest ever blackがVMOに名前を変え、イベント「いいにおいのする〜」は回数を減らしマンスリーイベント「世紀末」が始まる。狂乱のライブを経て生まれた、とにかく待望だった1枚。
ライブの凄まじさが先行して話題になっているけど音源も間違いなし。音源で聴くことでvampillia同様のロマンチズムをさらに感じやすくなった。
いろんなライヴ映像があがっているけど、手前味噌ですが自分が撮った動画が↓です。俯瞰しつつ臨場感を伝えたかったのであえてモッシュに巻き込まれてズッコケるところまで収録されてます。
ブラックメタルの再解釈としてダンスミュージックを選んだという考え方は、現在のモード界において大きな存在となっているVETEMENTSに共振していると思っている。もしVETEMENTSを流行りとしてではなく、そのセンスに惚れ込んでいる人にはVMOをぜひ注目して欲しいです。
ちなみにBiSの新しいパーカーが4XLまであるのはVETEMENTSパロディだと思います。
Danny Brown - Atrocity Exhibition
デトロイトのラッパーによる今年作。Trapではなくレフトフィールドなトラック、やたらキャッチー。コレはスゴいと思ったらWarpからリリースされるということで納得。多分ヒップホップを聴かない層の方が反応するのでは。
とにかく今年はラップの年だった。CMもとりあえずラップさせときゃいいだろうみたいなのが垂れ流されたのを見て、一部の界隈だけのブームではないことは確かだった。フリースタイルダンジョンはYoutubeに流されなくなった途端にTL上で話題を見なくなったが。
MCバトルを生で見てわかったが、あの手のMCは何を言ってるかがわからないと評価しにくい。自分が普段聴くようなラップものは何を言ってるかわからない方がむしろ聴きやすい。
Track
思いついたやつだけ。
John Gastro - Local Distance2016
都会と地方、自分の身で言えば東京と大阪。この隔たりについて思うことが多々あった一年でもあった。 大森靖子の「アンダーグラウンドは東京にしかない」がすべてを言い当ててしまったような事を。
tofubeatsとokadadaによる共作が原曲で、地方におけるトラックメイカーのスタンスとインターネットが結ぶものについて描いたものだった。
この曲にはあらゆるカバーやRemixがあるが、これも地方と東京の距離感を描いている。そして地方におけるモールやチェーン店による街の均一化に触れつつ、インターネットの発展による人々の個性の均一化について触れることで韻を踏んで前進させているように感じる。
Local Distance はこれからもジャンルを超えた人たちにカヴァーされていって欲しい。様々な視点と地点で描かれる事で、東京すら地方になり得る物語が見られるかもしれない。
"音楽くらいしか楽しいことないのにね"
ほんとそれなんだよ。
Bogdan Dražić - Cyrk 1
例のダークなニューディスコを探している過程で見つけた。ホラー映画のサントラやそれっぽいハウスをリリースするイタリアのレーベル Giallo Discoからの今年作。
この手のイナたい雰囲気は昔からツボなのでよく聴いた。けど、これといってかけるタイミングがない。
JARu - Angry Bassline
Juke/Footworkを聴き始めたきっかけはvampilliaのマイク・パラディナスによるリミックスで、それに合うような音を求めているうちにゴスっぽさを感じるダークなものを好むようになる。イベントに合うし。
今のところ女性のみがリリースしているUKはブライトンのObjects Limitedなるレーベルからの音源。
大森靖子 _ 愛してる.com
「君のオススメに面白いものはひとつもなかった それでもついていきたいと思った たのしい日曜日」ってめちゃくちゃリアルじゃないですか?
Maison book girl - Karma
ブクガはファンということもあり全部好きなんだけど、この曲は最初聴いた時に頭のCPUが追いつかないというか困惑した。何かっぽいようでどれでもない。
カナダのライヴで自然とモッシュが起こったという話が出てからなのかそれ以前からなのか、界隈のヲタがVMOのライヴばりに大暴れするのが面白い。キックが抜けた時に異世界の祭りに気づけばいたようなイビツなノスタルジー感じに押井守を感じた。
Blood Orange - Augustine
Blood OrangeとLight Speed Championが同一人物って知りませんでした。
校庭カメラガールツヴァイ - Lil Tomte
まさかのPrimal Scream〜Two Lone Swordsmen直系ダークエレクトロパンク。
時間がないのでこの辺で
Live
世紀末とかハバナイとかJlinとか当たり前によかったのはあえてはずして紹介したいのはこの2つ。
UNDERHAIRZ vs OSSAN @Socore Factory
アンダーヘアーズのワンマンではなくVS Ossan。
ヒップホップにおけるレペゼンというものを身の回りのオッサンを紹介する事によって成立させた。
UNDERHAIRZ2017年ボカーンと売れそう。
淡路島ガールズポップフェスティバルの2日目
「ライブはみんなで作るもの」とはよく聞くフレーズが、ここまで客に委ねられるフェスはそうないしあるべきでもない。このフェスがどれだけ問題があったかは上記のようなまとめを見ていただきたい。
とにかく最後の椎名ぴかりん→清竜人→Maison book girlの流れが素晴らしすぎて心の底から感動した。ライブアイドルシーンに顕著な自ずと主体性を持とうとする客の意志が爆発しすぎて、自分たちがこのフェスを成功させようとするヤケクソさ。それに呼応する演者、特に清竜人の「ワシはこういうのを待っとったんじゃ!!」と叫んでからの暴走はもはや放送事故の番組の中にいるような興奮で全員おかしくなっていた。
この次の週に行ったタイコクラブはとても快適でした。でも、何かが足りないと思ってしまったのは淡路島ロスなのかもしれません。
早川義夫さんが言ってました。「足りないのではなく、何かが多いのだ」と。
2015年ベスト
アルバム
順不同。
co la
「No No」
Co La - Crank [Official Audio]
okadadaくんが「co laの新譜スゴない?」とツイッター上で自分にリプしていたので気になって聴いてみたところ本当にスゴかった。
調べたらなんとDustin Wangと共にバンドをやっていたと聞いて驚く。確認したらEcstatic Sunshineってバンドでジャケはうっすら見たことがある。
で、今作。BPM140くらいのいわゆるポストダブステップを骨組みにコラージュ的にピックした音でビートに組み立てている。D/P/Iとか新世代のビートメイカーにも共通する硬質なものからジャージークラブっぽい水の音、くしゃみや赤子の泣き声といった人の無意識な発声からボブマーリー「EXODAS」の歌唱パートまでピックしている。
ドイツの電子音響レーベルPANからもLiftedなるユニットでリリースをしており、この2年の”とりあえず聴いているといえばオシャレな存在”(俺は勝手に"安全音楽"と呼んでいる。アラウンド’00年代におけるRadioheadとか4年前のJames Blakeとか)となったワンオートリックポイントネバー主宰レーベルSoftwareではこの名義でリリース。完全に今の時代における最先端の人である。
JlinやDJ FulltonoさんのMy Mind Beatsシリーズなど今年も「硬質」「隙間」「ミニマル」なものを好んで聴いていたが、これが一番自分のツボにハマったかもしれない。
校庭カメラガール
「Leningrad Loud Girlz」
「Ghost Cat」
【MV】Last Glasgow , Trip with Mr.Sadness / 校庭カメラガール
「Puppet Rapper」の一節はアイドル楽曲の歌詞ではじめて鳥肌がたった。
たった 2、3日で覚えた rap で
引きずり下ろす 仮面被った champion
ど頭に impact ぶっ刺す beat
ほらたまに笑顔 それが idol
BABY METALの「アイドル×メタル」やLyrical Schoolの「アイドル×ヒップホップ」といった方程式によるPRに象徴されるように、ライブアイドルは「ジャンルの擬人化」という捉え方もできる。そういった点では校庭カメラガールは"アニソンリエディット"の擬人化ではないかと思った。フロアライクな楽曲にアニソン的展開とドラマティックなメロディ、萌えボイスという要素が含まれていることが起因している。萌え声とラップによるアニソンクラシック「恋愛サーキュレーション」がエレクトロハウスからトンカカ、シューゲイザーミニマルなどあらゆるクラブミュージックで編み直されたトラックが氾濫した時期の興奮を思い出した。そんなトラックメイカーを輩出したマルチネレコードが初めて主催イベントを行った西麻布Bullet'sを拠点に置いていたこともポップカルチャーに頻出しがちな偶然と捉えている。
ライブは、もるももるがDJやりつつブースからラップしながら前に出てきたり、ましゅりどますてぃが白目むいたり痙攣したりとアイドルなのに峯田和伸みたいな動きをしたり、その横で天真爛漫に萌え声で歌うしゅがしゅらら、存在が2次元みたいなののるるれめるが同時進行し、一体何が起こっているのかというBiS階段の時のような事件風のエンターテイメントを少し感じた。新メンバー2人がまだ弱いのでこれからに期待。
それにしても「殺しにきたぜ大阪!」ってもるさんの煽りマジでカッコよかったな。Jouleでのライブでサーフしてステージに着地してしまったんですが、それを「ライブに乱入者が出た」とツイートされてて、話が大きくなるというのはこういうことかと身を以て体験しました。インターネットこわい!
ワンマンで卒業してしまったが、ましゅりさんは本当に素晴らしい演者でした。
GEORGE JUKEMURA
「THE BEST OF GEORGE JUKEMURA」
まず名前が最高。曲名とどこまでギャグなのかわからないアーティストの解説文もヤバい。ゴルジェとかJukeやるにはまず面白いツイートができるようにならないとダメなのだろうか。BOREDOMSのEYEさんもJukeをかけることで有名だが、過去に雑誌で"全裸中年男性"のプロトタイプのような文章を書いていらしたことを知り、この仮説がまた厚みを帯びた。
ゴルジェとJukeでゴルジュークってわけで低音が連続するビートなのだが感覚的にはゲットーハウス発展というブラックミュージック的なノリというよりは、どちらかというとブレイクコア文脈に近い印象。Vampillia meets μ-Ziqの音源に近いので、求めていたものを発見できた。イエーイ。
中国地方がアツイという説がこの人やFalusのらるぷりタソ、WOOD FRAMEの首領やYPY日野くん、depthのマイコプラズマさん達によって確信になったよね。
Peason Sound
「Peaeson Sound」
Pearson Sound - Pearson Sound [Full Album]
待望の1枚。ダブステップ以降の新興UKベースミュージック代表なこの人がアルバムで何やるんだろうかと期待していた。Ramadanman名義のハウス志向ではなく、いわゆるインターネット系っぽい音響からパーカッシブなダブを取り入れたクールな内容。ハメ系っていうんですか?知らんけど。それでいてフロアライクなのがUKっぽい。
オールナイトイベントに行く回数は確実に減ったけど、Ben UFOとかJoy OrbisonなどのDJは見に行った。Primal ScreamからMassive Attack、Jah Shakaとブリストルもモンチェスターも問わずUKの低音は一貫して好きなのである。Livity Soundsの来日を逃した俺はダセェ。
MOCKY
「Key Change」
Mocky - "Whistlin'" (Official Music Video)
前作「SASKAMODIE」が素晴らしすぎただけにハードルは上がっていたけど、今作も負けず素晴らしかった。前作よりも曲調が多種多様になりつつも、オーガニックなジャムバンドが得意とする類の音楽を相変わらず野外というより室内向けな鳴りをしているのが特徴的。服屋さんや美容師さんなどファッション関係にオススメを訊かれたらこれと答えていたくらい万人向け。
日本盤はウェブでリリースされた音源のコンピレーションがボーナスディスクとして同梱されていて、それに収録された「little bird」は今年聴いた中で一番の歌モノ。
大待望の来日公演があったというのに、"溶連菌"なる子供と老人にしかほぼかからないと言われているノドの病気にまたかかってしまい見れなかった。関西はCONPASSとアバンギルドであったのに。まさにholyshit。ほんと健康って大事と思いつつ、一時的なはずの気管支喘息を患って2ヶ月くらい経つので今もいろいろヤバい。
genesis hull
「Who Feels It, Knows It」
インターネット系の天才D/P/IによるJUKEプロジェクト。ダンスホールの要素も入っていてさらにゲットー感溢れるビートを硬質な音色とこちらも絶妙な隙間も込みでグルーブさせるディープミニマル感が最高。
D/P/Iの来日公演に行けた。音楽は文句なしなのにPCDJソフトとコントローラーだけでちゃんとライブが成立していて、インターネット系の冷めたノリがプラスに傾いた優れたライブだった。対バンのティッシュ食べながらiPodずっといじってる人もいろんな意味でヤバかったが、音はちゃんとしていた。
話はズレるけど、これの楽曲からBELLRING少女ハートの「男の子、女の子」に繋ぐのがマイブームだった。アカペラでJUKE風トラックを歌わせるものすごい曲。もっと評価されてもいいと思うのね私。
Maison book girl
「bath room」
Maison book girl / bath room / MV
まぁ、とりあえず上に掲載したリンクで聴いてみて。今聴いて。
変拍子(新曲は17拍子)やライヒの影響が表立ったミニマル感にクラップといった現代音楽をアイドル楽曲として落とし込むというアプローチ。それはいずこねこでも行われていたが、このMbgではアイドルっぽさが縮小されている。佐々木敦(HEADZ)からピエール中野まで反応。Ringo Deathstarrとツアーも回り、ちゃんとそちらのファンにも受け入れられたのも納得。
坂本慎太郎が以前、これからの新しい音楽について「全部のものに似てるんだけど、どこに当てはめてもシックリいかないっていうもの」という話をしていたのを思い出した。
入江陽
「仕事」
入江陽 - やけど [feat. OMSB (SIMI LAB)]
大谷能生ワークス、特にラップをやっているというのでまず注目。期待していたトラックよりもまずソウルフルな歌い上げ方に意識が向き、こんなインディR&Bもあるんだなぁとか思いながら聴き入り、4曲目の「仕事」あたりで完全に引き込まれてもはやファン。言葉のセンスも素晴らしい。ファミ通町内会とか好きそう。Shiggy Jr.池田さんとのデュエット曲とか後々話題になりそうだなー。粗悪ビーツとの7インチもサイコーでした。
大谷能生ワークスといえば、ご当地アイドル"みり☆おーね"の楽曲がヤバすぎた。アイドルにBLACK SMORKER系のアブストラクトドープトラックでラップさせている。
Kendrick Lamar
「To Pimp A Butterfly」
イマジャズを取り入れているということで菊地成孔のラジオで知った。こんなところで語る必要もないくらいにあらゆる媒体で年間1位作品として扱われている。
何言ってるかわからないけど、ジャケで政治的な内容だろうというのがわかるし、イマジャズだけじゃなくてスピリチュアル系使ってるので、祈り的なことがあるんだろうなぁくらいはそこそこわかる。あまりメッセージ性と主張が強くなるとそもそもの音楽らしさが欠如してしまうなー、とフリースタイルダンジョン見たりtha BOSSのアルバム聴いて改めて思ったけど(DISではありません。個人の感想です。)、これくらいにうまくまとめることもできるのね。
ヒップホップはOTOGIBANASHI'SやS映画「コクピット」なども素晴らしかった。KID FRESINOのアルバムもめちゃくちゃよかったけど、新譜と思って聴いていたやつが去年リリースのものでビックリ。買わねば。
VILLOD
「Safe In Harbour」
Vilod - Safe In Harbour [Perlon - PERL105]
私が多大に影響を受けた(特に動き)リカルドヴィラロボスとサンエレクトリックやモーリッツトリオの人によるユニット。アフリカンパーカッシヴのディープミニマル解釈というべきか、揺らぎがすごく心地いい逆人力テクノとでもいうべきか。ディープミニマル特有の無機質なビートやジャーマンなシンセの音色がこのノリで鳴ってる。まさに最先端を感じる。
「 FIZHEUER ZIEHEUER」でゆらゆら帝国と、今回は菊地成孔とリカルドヴィラロボスは自分の中のカリスマとよく共鳴しがち。
リカルドがミックスしたモーリッツの新作もよかった。最近のDJはチャラいので ライヴを来日でやってくれないかなーとか思う。
3776
「3776を聴かない理由があるとすれば」
初めて見たライブでは、プロデューサー石田氏が即興のギターミニマルを演奏し始め、その上に井出ちよのが歌い出し、自分でエフェクトしたりループさせたりさらに即興で踊ったりしていた。しかもやたらカッコイイ。難波BEARSや京都Urbanguildではなくアイドルイベントである。
前作「ラブレター」では「時空ラブレター〜アフター大噴火の世界の君へ」という21分もの大作で富士山の噴火後を歌うというコンセプチュアル楽曲(富士山ご当地アイドルなのに!)や、本人が収録楽曲を解説する「(答え合わせ)」というこれまたとんでもない楽曲が収録されていたりする。衝撃度で言えばこちらが上だが2014年作品だった。
で、満を持してのフルアルバム。3776と富士山を登頂するというコンセプチュアル作品。前作同様楽曲全てに3/8、7/8、7/8、6/8拍子の展開が入っているなど"3776"の要素が散りばめられている(これについて上記の答え合わせで解説されている)。多くの音楽通がホルガーシューカイやジャーウーブル、ドゥーピーズなどのレジェンドたちを想起させたコード感とリズム、ギターサウンド。登頂後の最後に歌われる「3.11」は直球の疾走感溢れるロックで、そのサウンドも歌詞のコンセプトもクラムボン「バイタルサイン」を思わせるメッセージソングでこれまた予想外の感動。オチとしても完璧だった。
もうジャンルだけでは驚くことはないほどに何でもアリになったライブアイドルシーンだが、こんな予想外すぎる驚きがあるとは。
よく聴いた曲
上記アルバム以外で
新宿をアンダーカバーを着て練り歩くサイケなPVもよい。LSDってこんな感じになるんですか。
クラブで元ネタのカニエの曲が流れた時に「毎日!」ってシャウトがいろんなとこから聴こえたのが印象的。
こういうことが"邂逅"と表現されるものなんだろうな。形式的なノリを否定するようなフロアの有様にJロックへのアンチテーゼも感じたり。全然どうでもいいけどこの動画のトップ画像「てさぐれ!部活もの」の小春っぽくないですか?
スライのFresh!系クールなファンクの現代解釈というべきか。CD化もされました。
スペイシーで鋭利なインダストリアル系とラリーハードっぽいシカゴ感も。
Chance The Rapperが好きすぎる。
The Internetはトリップホップっぽいところが好き。
改めて真部さんホントにスゴい。今年の隠れ女子ラップ名曲。
このカヴァーセンスは最高。アルバムが楽しみすぎる。
pellycolloさんはEspeciaのリミックスもよかった。
ライブ
たくさん見てるのでvampilliaはあえて除外。TIFのライブは面白かったけどそれ以上に感動したよね。
2015/11/06@CONPASS
音の解像度がとてつもなく高く、映像とのマッチも完璧。縦ノリから横ノリに移行する展開もキャリアを感じる慣れっぷりで1時間まるまるずーっと踊れた。
灰野敬二 -experimental mixture-
2015/07/06@Urbanguild
ツアー全部セットが違ったらしい。恐ろしい。
京都i博×鶴亀DESCO
2015/06/27@大宮Blue eyes
イベントとしても出演者も全部最高だったが、Have a NiceDay!が「ゾンビパーティ」を始めた瞬間の衝撃がハンパなかった。ロックンロールの初期衝動そのもの。浅見さんがギターウルフTシャツ着てるのもうなずける。
2015/07/23@梅田AKASO
この日ギターをマーティー・フリードマンが担当。途中までしか見れなかったが、菊地雅章のトリビュート色が強く出た「circle/line」がいつも以上に素晴らしすぎた。その演奏冒頭にかけていたのがコレ。
菊地さんにレゲエのイメージがなかっただけにビックリ。菊地雅章さんがお好きだったのだろうか。
2015/11/29@味園ユニバース
ベルハーにはコーチェラフェスティバルという目標があるが、「ひょっとしたら」と本気で思った壮絶な完成度のライブだった。
今年の傾向
今年は新世代のテクノとヒップホップ、変なシンガーソングライターそしてライブアイドルをよく聴いていた。
通常通り怪談会向けにノイズや現音ものやVMOの出現によりブラックメタルなんかも聴いてましたが、今年一番ホラーを感じたのはエキゾチックバージョンの「イエス、高須クリニック」の声の高さ。あとボーッとテレビ見てて突然インサートされたダレノガレ明美の泣き顔ドアップもビクッてなりました。
さっきから"アイドル"ではなく"ライブアイドル"と表記しているのは、2010年代以前の"アイドル"とは別物だからです。従来のアイドルは地上系と呼ばれたりします。
楽曲ダウンロードサイトOTOTOYの創設メンバーとして有名な音楽評論家である高橋健太郎氏のツイートにもこういうものがあった。
kentarotakahashi@kentarotakahash
何度か書いているけれど、僕は岡田有希子の自殺以後、旧来のアイドル産業に対しては、加担しないと心に決めた。だから、アイドルのレコード評すら書くのをやめた。それは十代半ばくらいの女の子を商品とした産業の在り方への疑問から。
posted at 01:02:18
kentarotakahashi@kentarotakahash
ただ、昨今のパンク・バンドみたいなインディーズのアイドル・グループは別物だとは思っている。
posted at 01:03:07
「パンクバンド?」と思われた方にはこちらも読んでいただきたい。
偏見を持っていた方がシーンの深さに気づく記事も。
SEALDsのデモに参加したりミューマガのデモ特集を読んだ。デモにおけるコールのリズムリテラシーの高さについて書かれていたが、アイドル現場におけるミックスの3連譜や5連譜が自然と生まれる。さらにデモで突発的に発されたガヤがコールになるのとヲタのガヤが流行る感じと、デモとヲタ現場にはえらく共通項があってビックリ。SEALDsのようなデモがそのままラブパレードに移行するような平和がこれから訪れて欲しいと切に願います。
見たりやったりして思ったけど、アイドルが出るイベントではDJなんかよりも面白いガヤや変なタイミングでリフトしたりするほうがよっぽどクリエイティヴですよ。
なので、あらゆる意味で声を上げるのは大事だと改めて気づかされました。それもあって、これから「フリースタイルダンジョン」はもっと流行るんじゃないですかね。真面目に年末特番化して欲しいです。
まぁ、今年も一番聴いていたのは「洲崎西」ですけどね。
そこの制作会社から派生した「西明日香のデリケートゾーン」はタイトルが狂っててもう最高ですね。
2014ベスト
順不同。
坂本慎太郎「ナマで踊ろう」は当たり前すぎるので省略。
My Beautiful Twisted Nightmares in Aurora Rainbow Darkness
Some Nightmares Take You Aurora Rainbow Darkness
お世話になっております大阪が世界に誇るオルタナティヴオーケストラvampillia待望のアルバム。
ブラックメタル、現代音楽、オペラ、シューゲイザーなどなどマニアックな音が入り込んで情報量がハンパないのにこんなにキャッチーにまとめられるのは特異なバンド形態ゆえか。
上記タイトルが2つなのはミックス違いで前記の国内盤はワールズエンドガールフレンド、後記の海外盤はBen Frostが担当。
Death Grips / niggas on the moon
ザックヒル関連は全く受け付けなかったけどDEATH GRIPはわりと聴けた。
そこでこのアルバム。支離滅裂なようで気持ちいい展開。
イマジャズなリズムのポリらせ方がJUKE以降感満載。
残忍なサウンドでややこしいけどなんかポップ。
こういう不良感こそロックと思ってます。
Venetian Snares / My Love Is A Bulldozer
ブレイクコア勢はみんなJUKEに移行したと思っていたらそんなことなかった。
大御所ヴェネチアンスネアズの新譜は相変わらずなアーメンだらけだけど
ジャズからのサンプリングだったりブラックメタル〜ゴスな曲調が琴線に触れた。
エイフェックスツインの新譜にドリルンベース感を求めていた人やvampilliaファンはこれを聴くといいかも。
Run The Jewels / Run The Jewels 2
サンプルオムニバスでOh My Darling Don't Cryを聴いて一瞬でハマる。
そういえばEL-Pが新しいユニット組んだんだったなーなんてこと思いながら。
DEATH GRIPSやVenetian snaresの流れでこの手のワルい音にハマっているのかも。
このアルバムにはザックデラロチャ、DEATH GRIPSにはビョークが参加しているから
90年代オルタナファンはこの流れに乗るのは当然と言えば当然か?
Aphex Twin / Syro
シンセオンリーで肩の力が抜けきったような音楽。
最初は全く無反応だったけど、聴けば聴くほどイメージが広がるようなアルバム。
ステージで1人シンセをいじり満員のフロアを狂乱させたLFOのライブを回顧したり。
Millie & Andrea/Drop The Vowels
アンディストットとデムダイクステアのユニット。
Modern Loveからやっとキャッチーなのが出てきたって感じで聴き込んだ。
改めて聴いて思ったけど今年はいわゆるベースミュージックではない低音を求めていたのかも。ニュールーツのパーティにも出かけたし。
もぐらが一周するまで / R Is for Rounding Mole
お世話になっております里亘さんのユニット待望の音源。
ジャンベとギターのみのミニマルで宇宙のような草原のような森林のような
もしかしたらそれこそが京都なのではないかとイマジネーションを引き立てる。
Kyoka / Is (Is Superpowered)
ついこないだ入手したけどこればかり聴いている。
ラスターノートンで色鮮やかな音楽って要は最高。
Archangel(Bruno Pronsato) /
The Bedroom Slant
ブルーノプロンサトのバンドらしい。
何故こんなメタルみたいな名前なんだろうか、と思ったらそういえばこの人メタル出身だった。しかし音は従来のブルーノ節で、そこに生音や歌が乗ってオーガニック感に磨きがかかる。クールや。
大森靖子 / 絶対少女
アイドルを蔑称から別の次元に変えたでんぱ組やEspeciaなどのアイドル側ではなくロック側からの大きな一撃。
そして銀杏BOYZは意図せずまたとんでもないものを生んだ。
曲(上記収録以外)
Vampillia - mirror mirror (bombs BiS) from"The ...
Eno • Hyde - 'DBF' - YouTube
BELLRING少女ハート - c.a.n.d.y. - YouTube
ゆるめるモ! "たびのしたく LIQUIDROOM Live ver." (Official Music ...
Moodymann - Lyk U Use 2 (feat. Andrés) - YouTube
Flying Lotus - Never Catch Me ft. Kendrick Lamar ...
Pinch - Search Party - YouTube
ま、今年一番聴いてたのは洲崎西なんですけどね。